note2815

基礎美術教えたり、考えたり感じたり行動して疲れたりする北の地方都市 詩とエッセイで絵に…

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基礎美術教えたり、考えたり感じたり行動して疲れたりする北の地方都市 詩とエッセイで絵にならないものを置き、 絵で言葉にならないものを置きつつ散歩する惑星 https://suzuri.jp/asteroid2815

マガジン

  • わしのパンセ

    絵と呟きの随想録

  • 小さなまちと幼年期のおわり

    小さな社会で暮らしていた幼少期のことを紐解いて、消化しずらい感情をちょっとほぐすために描いている漫画

最近の記事

絵描き/こだまのてざわり

飛べなかったはねと 走れなかったあしで絵を描いてる 歌えなかった口と 見れなかった目でやっぱり絵を描いてる 握りかえせなかった手と 連れていけなかった星の上で ずっと絵を描いてる にせものだけど ほんとだよ こだまが今日を生かす いつか答えた問のこだま それを 復唱する声が 連れていけなかった星の 血を巡らせて 鈍く鼓動する きこえるかエバーグリーン おまえの 腕にかけたねがいが風化して 読めなくなった頃 季節を巡った数だけ 感光した景色が 壁

    • 宵のスケッチ 4/16

      ひえたアルミサッシが よるというくにのふちを囲う 散りつつある桜の花びらの隙間にも しみて広がる 風と揺れるくに 蛍光灯で慣れた目でその深さを測ろうとすると 深みからやってくる羽虫の 小さいはねにつけた立派な目玉が 盲ているので (手のひらでつつんで) あかり一旦消しますか (入口とびらからは商店街のにおい)

      • 腹くだす飲み会のぶるうす

        12種類の声が均一な音量で耳に入ってきて何一つ聞き取れない食い合わせの悪い晩餐、張りたくもない膜が厚めに張られていくのを斜め上から傍観して解散、徒歩、1500mぶんを吸って吐くだけのテンポで助かって夜桜、風の中からは沈丁花のにおい 浮くはずだった歯は口ん中で並び順を逸し咀嚼、たどり着いた暮らしの鍵はこともなく開いて カーテンの隙間からおるごおるの音色フロム愛すべき場末の(ホテルプレリュードルナシス入口より)上空を一瞥すると人生の雑言と賛美がぼんやり座を組んでいた

        • 返歌

          うたのようなものを受け取るので、 返歌をしています 発話ではなく その合間の横たわり もしくは底流 底流、小さい音なのではなく 遠くの 滝 そのとどろく音が いつも なぜか ここまで届く もっとも、至近の半径においては ちらつく色味で細かく飛びかう虫を (草むらに飛ぶ無数の意味たち) 捉えないといけないのに 私のフォーカスは遠くの 滝のほうに当たっていて 虫の方をうまくかはしたり 虫同士を交わしたりしないといけない 色がさざめいて顔にぱちぱちあたる

        絵描き/こだまのてざわり

        マガジン

        • わしのパンセ
          7本
        • 小さなまちと幼年期のおわり
          2本

        記事

          へいきでわらう

          大きなものの前で平気で笑っていた 国よりも大きなもののまえで 似ている宇宙と一緒に 目は 捉えるもののない空をおよいだ こわいといいながら平気で笑っていた 海より大きなものの下で 似ている呪いとあるいた 風が 明日より向こうの方に吹いていた しょっぱい味のする 明日より もっとむこうの方に

          へいきでわらう

          空のふた空いてて

          前にもはなしたことをはなす 前にもはなしたっけと言いながら 前にも来たことのある場所だっけ 夢の中で頑張って行こうとした 知らなかった場所が 知っている場所になってもまだ 残っている なぞなぞ このよのなぞなぞというきのこが 夢で行くばしょに生えている 木立や部屋やみずうみは体の中で 道になって自在に繋がっている 木の根元に一つ置かれた絵が何か教えたそうにしていたので その中にあるいていく 道はまぶしい春のていしゃばに繋がっていて ひとりだ 空のふ

          空のふた空いてて

          せかいのぴあの(れんだん)

          せかいをピアノにしてあそぶ ひけないピアノを せかいにすると おなかのなかで おとがなる くびのうしろで おとがなる 自分で自分のさわれぬばしょが のびて ちぢんで うたになる 階段を登り おり 和音にしてはまたもどす (たたく つねる そっと押す) こないだピアノになったのは 寒暖の対流のまんまんなかで 雪のまう春 日差しとくもり 続けて ひく手があったから わたしが またその 続きをひいた

          せかいのぴあの(れんだん)

          悲鳴、遠くになって

          意外とたくさんあるな、と思った 遠くで 肩や胸の骨格だったものが 灰青の空に、フレームみたいに浮かんでいる 肋骨からはみ出すみたいな もしくは 全身を溶け落ちて地面にしみをつくるような 呼気や呼吸の圧力だった 毎日のからだ それが音もなく 内臓によくある鮮やかな色合いで 骨の内側と外側を行ったり来たりしている 彼らの思い出す軌道に沿って 当時の10倍ほど緩慢に動作している あれはなんだったんだろうね  毎日のように覆いかぶさってくる悲鳴とか 体中うち

          悲鳴、遠くになって

          ていしゃば

          こんなにも重いのだっけか 3月のくも 忘れていたよな こんなにも何もないのだっけか しびれを切らして訪れたんじゃないのか 春 少しくすりを飲んだだけなのに 情けないな 液晶についた水滴が 世界のすべてをうつしても 何も動かないなんて 再生? 動かないのは何なのかな こころと窓 確かめる6ヶ月前 あの鮮明さは 録画には残っていなかった 胎動 ほこりを吸い込んで水滴は濁る 生活 にぶいひかり 明日の予定 ドア 賃貸 一年半後の引っ越し 停止ボタンを押し

          ていしゃば

          キク科もしくはイネ科の(土中にて)

          折り重なって こっそり光っている 土の中に埋まっている今年の夏 忘れている(素足になりたがる) あしの裏でそれをやや遠くにさわる 蒸散、遠景が屈折率に青く霞む ぬるい雨滴にさらされ 黒い土の上を ハネったり這ったり、 小さい声で一晩中鳴きつづけるいのち 土の中にはり巡る気配は知っていてだまる そんな音がそのうち地上に鳴ることも 一個ずつ消えてまた 静かになっていくことなんかも

          キク科もしくはイネ科の(土中にて)

          ランプ明、ランプ滅

          なにごとにも まぶしいときは必ず訪れるので 一瞬の過ぎ去りのじかんを、 ランプにして引き出しの中で息をさせる スイッチボックスを取り出して 暗がりの多い胸のうちに だいじにつけては、消す 眠らせては起こす 少し動きづらい体を 歩かせるためとか どうしても見たいものを見に行くために つけては、消す (今日も無事に息をしていたランプ)

          ランプ明、ランプ滅

          傾聴から、個展のタイトルの話

          今日は話を聞いた、痛切な 絵描きは(絵かきじゃない人がそうであるように)意外と色んな目に遭うようなのだった 神経病みはどうも生まれたときからだと気づくのはだいたい20歳過ぎてから30くらいまでだ 色んなものに翻弄されながら絵描きをやったり絵描きを休んだり死にたくなったり幸せになったりしながら 軸になってしまった、絵筆と手をくくりつけた部品を動かして、這いずりながらちょっとずつ進むっていう生態はみんなそうみたいだ 泣きながら、吾輩の絵のことを、絵ってそう(内側からにじみ

          傾聴から、個展のタイトルの話

          てがみの夜(なんかの草稿)

          わたしの友だちが手紙を書くので呼ばれた 彼女は、大好きな人たちに渡すための手紙を書く 彼女の視野や胸の奥がどんなふうに彼らを受け取っていたか伝えるためだ 彼らにはこれから訪れる彼女不在の時空間があり、その間彼女が手紙で伝えた事柄が彼らを守らなければならない だから彼女は一丁いいのを3通に渡ってしたためければならないのだった わたしは、彼女が話す彼らに付いてのエピソードや感慨または分析を聞くともなしに聞く 彼女の思考の定まらない流れの中で、一定レベルで概念に固化してい

          てがみの夜(なんかの草稿)

          持続可能な

          (水は手渡され) しずくは冒険する 手のひらの熱を伝って 凝結する前の大気の中に拡散しては ある朝のコップ一杯に向かって 繰り返してめぐる ひとつはとある晩の橋になり ひとつは誰かの虹になり ひとつはれんずになって 目撃すべきいくつかの瞬間に向かって しずくは冒険する まだこのくらいの時分に見上げていた おのおののかたち遊びに宿っては 眠りの浅いまぶたの裏で光り 長じては ラストシーンが コンティニューする示しといっしょに しばらく踊ってから

          持続可能な

          くぼみと不時着、ミッションコンプリート

          同じようなところに同じようなくぼみがあって そういうのはだれもが埋まらない 埋まることがいいとも限らない、 そうでしょう 月の裏のクレーター  その脇に いつだか うっかり着地する小さいふね 乗組員はひとりだ じぶんが 降り立った場所がどんなところか 見当もつかないまま 足跡をつけたり 見当違いの場所をほじくったりして 今晩はここでねむるという 月は そんなところに旗を立ててもらっては 少しくすぐったいと思ったけれど 船乗りがあんまりいっしょうけん

          くぼみと不時着、ミッションコンプリート

          粒子とわれわれ

          わたしたちたぶんあまりにも粒立っていて それを覗き込みすぎるワルツ いつもおどっている 拾って覗き込んでくるくるまわしているうちに 回転速度は増し三半規管が酩酊をおこし コーヒーカップは糸巻きみたいに細くなる たぶんだから帰り道を忘れる 狂っていることは わかっているけれど 見えない世界の小人のこえが連日 大きな音で聞こえ いろのついた模様になる そういう目や耳で生まれてきたわたしたちなので 安全な沈黙を寄越したり ギターのおとを窓辺の鉢植えに聞かせた

          粒子とわれわれ